人工透析について Dialysis

About the dialysis 人工透析とは

人工透析が必要になる主な原因は、腎機能の低下です。
特に重要なのが「肝腎かなめ」であり、これは腎臓が私たちにとって極めて重要な臓器であることを象徴する言葉です。

腎臓には、血液をろ過して老廃物や有害物質を尿として排出し、体内を清潔な状態に保つ役割があります。
また、体に必要な成分は再吸収して、体内の水分と電解質のバランスを調整する役割も担っています。
さらに、赤血球を増やすホルモンや血圧を調整するホルモンを分泌し、ビタミンDを活性化してカルシウムの吸収を助けるなど、生命維持に必要な重要な機能を果たしています。

腎臓の機能が何らかの原因で低下すると、その機能を代替するための治療が必要となります。そのひとつが透析治療です。

腎臓が悪くなると・・・

腎臓の機能が低下し、血液をうまくろ過できなくなると、体内に老廃物や余分な水分が蓄積します。
腎機能の低下が3カ月以上続く状態を慢性腎臓病と呼びますが、適切な治療を受けないと、尿毒症という深刻な状態に進行する可能性があります。

尿毒症の代表的な症状には、疲労感、食欲不振、吐き気、頭痛、体のむくみ、高血圧、貧血などがあります。
さらに重症化すると、せん妄や全身けいれんなどの神経・精神症状が現れ、呼吸困難を引き起こすこともあり、命に関わる場合があります。
そのため、早期の対策が重要です。

The 3 main causes 慢性腎臓病の3大原因

人工透析に至る慢性腎臓病(CKD)になる原因にはさまざまなものがありますが、代表的な疾患として次の3つが挙げられます。

糖尿病

糖尿病によって高血糖状態が続くと、腎臓の糸球体という尿をろ過する部分が損傷し、腎臓の機能が低下します。この糖尿病性腎症は、全透析患者の39.1%(2019年末現在)を占める主要な原因の一つです。

糖尿病性腎症が進行すると、糸球体内の細かな血管が壊れ、ろ過機能が低下し、血圧が上昇します。これにより高血圧が引き起こされ、腎臓の状態がさらに悪化します。まりやすくなり、中度や重度の歯周炎へと進行してしまうのです。

高血圧

高血圧が続くと、全身の動脈が硬くなる動脈硬化のリスクが増加します。
この影響は腎臓にも及びます。 腎臓は無数の細い動脈で構成されていますが、動脈硬化によって血管が狭くなると、血流が十分に供給されなくなり、腎硬化症を引き起こし、腎機能の低下を招きます。

慢性腎炎

慢性腎炎(慢性糸球体腎炎)は、糸球体に慢性的な炎症が生じる疾患です。この疾患では腎機能が低下し、たんぱく尿や血尿といった症状が1年以上続きます。
1日に1g以上の尿たんぱくが持続する場合、10年以内に約30%が慢性腎不全に進行する可能性があるため、注意が必要です。

人工透析ってどんな治療法?

人工透析とは、腎臓が正常に機能しなくなった場合に、その代わりとして体内に蓄積した余分な水分や塩分、老廃物を取り除き、血液を浄化する治療法です。

透析治療には大きく分けて、血液透析と腹膜透析の2種類があります。

Method of dialysis 透析の種類

  • 血液透析 体内の血液を一度外に出し、ダイアライザー(血液透析器)を通して不要な老廃物や水分を除去し、浄化された血液を再び体内に戻す方法です。ダイアライザーは腎臓の糸球体と似た働きをします。日本では、透析治療を受けている人の9割以上が血液透析を選んでいます。 血液透析は専用の設備が必要なため、医療機関に通う必要があります。一般的に、血液透析は1回につき4時間、週3回のペースで行われます。 さらに、血液透析では大量の血液をダイアライザーに流し込むため、腕の動脈と静脈をつなぐシャント作製の手術が必要です。

  • 腹膜透析 腹膜とは胃や肝臓などの内臓を覆っている薄い膜で、表面には毛細血管が広がっています。この腹膜を利用して行う透析が腹膜透析です。カテーテルを腹部に挿入し、透析液を出し入れすることで、不要な老廃物や余分な水分を除去します。 腹膜透析は、血液透析のような大規模な装置を必要としないため、自宅や職場でも行えるのが特徴です。 腹膜透析には、患者自身が1日に4回程度透析液バックを交換するCAPDと、夜間に機械を使って自動的に透析を行うAPDの2種類があり、生活スタイルに合わせて選択できます。

透析開始の目安

透析療法を開始するタイミングは、患者の年齢、原因となる病気、栄養状態、腎機能の評価、血液検査の結果、日常生活への影響、尿毒症の症状などを総合的に考慮して判断されます。

患者の状況により異なりますが、クレアチニンクリアランス(腎臓のろ過機能)が10mL/分未満、または血液中の尿素窒素(BUN)が80〜100mg/dL以上になると、透析導入が検討されます。